現行の過疎法に代わる新法案が、近く国会に提出される。
戦後の高度成長期から現在まで、農山漁村では若い世代の都市への流出が続き、人口減少と高齢化が深まっている。
こうした地域の医療や教育、交通、産業といった生活基盤を支え「持続的発展」を図ることを新法案は目標に据える。
過疎法は1970年、10年間の議員立法で制定された。以降、期限延長や新法への衣替えを繰り返しながら継続してきた。
過疎地域は人口減少率と財政力指数で決まる。指定された自治体は、国が返済額の7割を手当てする過疎債を発行できる。公共事業で国の補助率がかさ上げされ、税制面でも優遇される。
新法案は人口減少率の算定基準年を1960年から75年に改めている。対象は現行法の817市町村から820になる。
長野県では長野、松本、塩尻の3市と、ダムの固定資産税収が増えた南相木村が対象から外れる。中野市と佐久穂町、飯綱町が新たに指定され、大町は市全域が過疎地域に変わる。全体では36市町村が対象となる見通しだ。
合併後も指定が続く「みなし過疎」の仕組みは残された。対象外となる自治体への経過措置も、コロナ禍を踏まえ、6~7年に延長される。現行法の水準が維持されたことは評価したい。
これでひと安心とは言えない。財政支援の重点分野には、遠隔医療・教育、テレワークの推進、先端技術を使った農林水産業の自動化が挙がる。過疎債のソフト事業への利用は限定される。
デジタル改革のような国の方策に誘導するのでは、請け負う都市の企業が予算を回収する結果にならないか。過疎対策には成果が乏しいとの批判も付きまとう。
そもそも、担い手不足から生産力が落ち込み、生活基盤も整わない農山漁村は指定を受ける地域に限らない。法制定から半世紀を経て、人口減と高齢化は全国共通の難題に変わっている。
「地方創生」と同様、政府が経済成長を軸に路線を敷き、地方を従わせる手法から改めなくてはならない。自治体が固有の資源を生かし、自由に施策を実践できる仕組みこそ求められる。
豊かな景観を守り、食料や水資源、木材、自然エネルギーを供給する農山漁村の将来は、都市の人々の暮らしにも結び付く。自治体は住民との対話を深めつつ、議論を主導し、地方振興策を現場に見合う中身へと転じていきたい。

