https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200929/KT200928ETI090006000.php
歴史が巻き戻され、女性や少数者が獲得してきた権利が大きく後退することにならないか心配になる。米連邦最高裁判事の死去に伴う後任の人選だ。
トランプ大統領が、連邦高裁判事のバレット氏を指名した。筋金入りの保守派と言われる女性だ。上院の承認を得て就任すれば、最高裁判事のうち6人を保守派が占め、リベラル派3人に対する優位が決定的になる。
最高裁の判事は憲法で身分を保障され、死去するか自ら辞任しない限り、職を解かれない。トランプ大統領は就任後、既に保守派の判事2人を任命した。いずれもまだ50代だ。さらに48歳のバレット氏が加われば、保守派優位の構成は長く崩れそうにない。
それは、女性や少数者の権利保障に関わる最高裁の判断が覆されかねないことを意味する。とりわけ重大なのは、妊娠中絶を禁じる州法を違憲とした1973年の判決だ。子を産み育てるかどうかは女性が自ら決める権利だと認める画期的な判断だった。
中絶に反対する保守派による押し戻しの動きはトランプ政権下で目に見えて強まっている。厳しい条件を定めて中絶を制限する州法が昨年相次いで成立した。
取り消しを求める裁判が起きているが、最高裁が州法を合憲と判断すれば、女性の権利保障は何十年も退歩を余儀なくされる恐れがある。同性婚を禁じた州法を違憲とした2015年の判決も維持されるか分からない。
18年まで保守とリベラルが各4人、中間派1人で均衡していた判事の構成は、中間派の引退に伴うトランプ大統領の後任指名で保守派が5人になった。上院が規則を改め、承認手続きに必要な6割の賛同を過半数としたことも、政治任用をしやすくした面がある。
リベラル派を代表する判事だったギンズバーグ氏が今月死去し、トランプ氏は1カ月後の大統領選の前に指名を急いだ。保守派の有権者の支持固めに加え、選挙結果をめぐって法廷闘争になった場合に備えて、最高裁を有利な状況にしておきたい思惑がある。
最高裁判事の判断は政治や社会のあり方に大きな影響を及ぼす。任期切れを控えての指名は避け、次期大統領が選ぶのが筋だ。
上院で過半数を占める与党の共和党が大統領選前の承認に動いていることを含め、党派の利害が先に立つ、身勝手なやり方と言うほかない。司法の独立を損ない、民主主義の根幹である三権分立を揺るがしてはならない。
歴史が巻き戻され、女性や少数者が獲得してきた権利が大きく後退することにならないか心配になる。米連邦最高裁判事の死去に伴う後任の人選だ。
トランプ大統領が、連邦高裁判事のバレット氏を指名した。筋金入りの保守派と言われる女性だ。上院の承認を得て就任すれば、最高裁判事のうち6人を保守派が占め、リベラル派3人に対する優位が決定的になる。
最高裁の判事は憲法で身分を保障され、死去するか自ら辞任しない限り、職を解かれない。トランプ大統領は就任後、既に保守派の判事2人を任命した。いずれもまだ50代だ。さらに48歳のバレット氏が加われば、保守派優位の構成は長く崩れそうにない。
それは、女性や少数者の権利保障に関わる最高裁の判断が覆されかねないことを意味する。とりわけ重大なのは、妊娠中絶を禁じる州法を違憲とした1973年の判決だ。子を産み育てるかどうかは女性が自ら決める権利だと認める画期的な判断だった。
中絶に反対する保守派による押し戻しの動きはトランプ政権下で目に見えて強まっている。厳しい条件を定めて中絶を制限する州法が昨年相次いで成立した。
取り消しを求める裁判が起きているが、最高裁が州法を合憲と判断すれば、女性の権利保障は何十年も退歩を余儀なくされる恐れがある。同性婚を禁じた州法を違憲とした2015年の判決も維持されるか分からない。
18年まで保守とリベラルが各4人、中間派1人で均衡していた判事の構成は、中間派の引退に伴うトランプ大統領の後任指名で保守派が5人になった。上院が規則を改め、承認手続きに必要な6割の賛同を過半数としたことも、政治任用をしやすくした面がある。
リベラル派を代表する判事だったギンズバーグ氏が今月死去し、トランプ氏は1カ月後の大統領選の前に指名を急いだ。保守派の有権者の支持固めに加え、選挙結果をめぐって法廷闘争になった場合に備えて、最高裁を有利な状況にしておきたい思惑がある。
最高裁判事の判断は政治や社会のあり方に大きな影響を及ぼす。任期切れを控えての指名は避け、次期大統領が選ぶのが筋だ。
上院で過半数を占める与党の共和党が大統領選前の承認に動いていることを含め、党派の利害が先に立つ、身勝手なやり方と言うほかない。司法の独立を損ない、民主主義の根幹である三権分立を揺るがしてはならない。
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