http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180531/KT180530ETI090009000.php

 監督が絶対的な権限を握り、たとえ理不尽な指示であっても盾つくことを許さない―。その強権体質が危険な反則行為につながったことを重く見た妥当な判断と受けとめる。

 日本大アメリカンフットボール部の内田正人前監督と井上奨前コーチに対し、関東学生連盟の理事会が「除名」とすることを決めた。永久追放に相当する。過去に例がない厳しい処分である。

 学連は規律委員会を設け、日大や対戦した関西学院大の選手ら関係者およそ20人から聞き取りをした。反則をした選手本人や内田氏も含まれる。試合の映像も確認し、事実関係を検証した。

 その上で、反則を指示したことを否定した内田氏らの主張を、全く信頼性が乏しいと退けている。反則をした選手の説明は、具体的で迫真性があり、周囲の証言とも一致することから、どちらが信用できるかは明らかだとした。

 調査から見えてくるのは、選手やコーチが服従を強いられるゆがんだ関係だ。特定の選手に「結果を出さなければ干すぞ」と圧力をかけて厳しい条件を課す指導が繰り返され、選手たちはそれに「はまる」のを恐れていた。

 2003年に監督に就任した内田氏は、15年にいったん退いたが、17年に復帰した。その後、強圧的な空気が目に見えて強まったようだ。選手との対話はなく、コーチも監督の意に沿ってしか動かない。20人以上の部員が昨年、相次いで退部したという。

 選手は、試合に出られなければ卒業後の進路にも影響する。コーチたちも、大学の常務理事として人事を担当する内田氏に逆らえない状況だった。その息苦しさの果てに悪質な反則行為は起きた。

 反則をした選手とチームについて学連は、一定の条件の下で公式戦の出場資格停止を解く余地を残した。チームを立て直すとともに、実名と顔を明かして謝罪した選手に復帰の道を開きたい。

 その取り組みを選手たちこそが主体となって進められないか。学生スポーツは、大学のものでも指導者のものでもない。日大は学連の判断を重く受けとめ、選手をどう支えるかを考えるべきだ。

 女子レスリングや女子柔道界で起きた指導者によるパワハラ、暴力も、服従を強いる関係が背後にあった。指導者が強い力を持ち、選手が逆らえないような体質は、高校や中学の運動部を含め、根強く残っている。今回の問題を、スポーツの指導のあり方にあらためて向き合う機会にしたい。