http://www.iwate-np.co.jp/fudokei/y2015/m11/fudo151125.htm
板書した一本の線を指して「線にも厚みはある」と先生が言った直後、猛然と反論した男子生徒がいた。中学入学直後の記憶だ
▼「ほう」と先生。「黒板に書けるかい」と彼に問う。彼は「書けるよ」と言うと、色違いの2本のチョークを境目がピタリと接するように黒板にすりつけた。その部分は、なるほど厚みのない線だ。自分の目が丸くなるのが分かった
▼パリ同時多発テロを受け、仏大統領は「フランスは戦争状態にある」と言った。違和感に襲われるうち、テロで妻を失った男性が「憎しみという贈り物を君たちにはあげない」とネットにつづったと知り、あの日のように目が見開いた
▼非常事態を延長し国内監視を強める一方、過激派組織の壊滅作戦を激化させるのは被害国として当然の反応に違いない。一方で、それが難民の惨状を一層悪化させ、新たな憎しみを生む構図は犯行グループの思うつぼでもあるだろう
▼「憎しみ」を容疑者への「贈り物」と表現した男性はジャーナリストという。同業の端くれとして、戦争状態とする「常識」を常識としない壮絶な覚悟を、心の底から崇敬せずにはいられない
▼「怒りで応じてしまったら、君たちと同じ無知に屈することになる」。強硬論が高まる仏国内にあって、この精神こそよほど「攻撃的」ではなかろうか。
コメント