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生徒の質問に答える大胡さん(左)と鈴村さん=20日、愛知県あま市の甚目寺公民館

 「福島の今を教えてほしい」-。東京電力福島第1原発事故で約600キロ離れた名古屋市内に身を寄せる福島県の2人の避難者が、愛知県あま市の中学生の要望に応え、東日本大震災の体験談や心境を語った。慣れない土地での暮らしは間もなく5年を迎えるが、「私たちのことをずっと気にかけてくれてうれしい」と生徒に感謝を伝えた。
 名古屋市に近いあま市にある市立甚目寺中。「心と心をつなぐ~福島について、いっしょに考える」と題した人権講話集会を20日に開催し、浪江町から避難する大胡晴美さん(51)と、富岡町の鈴村ユカリさん(42)を講師に招いた。
 2人は震災直後から、夫の実家などがある名古屋市に、それぞれ家族とともに避難する。古里への思いは常に頭から離れない。
 つらい避難所生活や、雑草に覆われた自宅の惨状。生徒は震災体験に耳を傾け、次々に質問した。「まだ復興していない福島を見ると、どんな気持ちになりますか」「頑張れと言われてうれしいですか」-。
 つらい震災を乗り越える一歩は何だったのか。1年女子の問い掛けに、鈴村さんは小中学生の自分の子ども3人の変化を挙げた。
 「好きなことに向き合えるようになったかな。中3のお姉ちゃんが合唱に一生懸命な姿を見ると、何かに出合えたのかなとうれしくなります」と打ち明けた。
 大胡さんも避難のため愛犬と別れたことなど苦しみを抱えているが、少しずつ歩みを進める。「娘たちとけんかもするけれど、毎日家族が一緒に居られること。くよくよせず、今しかできないことをやろうねと励まし合っています」
 震災から5年近くがたとうとする今でも、2人は福島から遠く離れた土地で支えられていることに深く感謝する。同校生徒会は「東北応援プロジェクト」に取り組み、愛知県内の避難者に思いを込めた絵手紙などを毎年送り励ましてきた。
 「私たちに何か役に立てることはありませんか」。こう問われた大胡さんは「皆さんから気に留めてもらっていることがうれしい」。鈴村さんも「みんなが思ってくれている。ここにいることを喜び、明日からまた頑張ろうと思います。ありがとう」と感謝のメッセージを送った。
 3年の長谷川竜也さん(15)は「愛犬と別れた話などを直接聞いて、胸を締め付けられた。福島が一日でも早く復興できるよう応援し続けたい」と話した。