打開策はなく、ただ流されているだけのように見える。
東京電力が発表した新たな経営再建計画である。2011年の福島第1原発事故に伴う賠償や廃炉、除染などに必要な巨額の費用を、どう捻出していくかが問われている。
12年から策定しており、今回は第4次の計画だ。17年の前回計画の枠組みを引き継ぎ、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に収益改善を頼る内容となっている。
柏崎刈羽は今年、核物質防護の不備が発覚し、原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けた。今後予定する本格検査の結果によっては、原子炉設置許可が取り消される可能性もある。
再稼働に向けては、未完了の安全対策工事を完了したと説明するなど、核物質防護の問題以外にも東電のずさんな対応が次々に明らかになってきた。
過酷事故の反省が根付いていない東電に、原発を再び運転する資格はない。その東電が、事故の責任を果たすためだとして、いつまでも原発依存を続けている。
東電は事故後、政府から1兆円の出資を受け実質国有化された。行き詰まりは国民負担に直結する。再稼働を想定しない計画へ抜本的に見直していくべきだ。
賠償と除染の必要額は計11兆9千億円。原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通じて国が資金を出し、東電と原発を持つ大手電力が協力して返済する。廃炉費用は8兆円を見込み、東電が積み立てる。この想定は前回と同じだ。
これらを賄うため、毎年5千億円の確保を目指していくとの方針も据え置いている。
再生可能エネルギーへの注力も打ち出したが、電力自由化による顧客流出もあり、十分な収益確保は見通せない。一方、柏崎刈羽で1基稼働すれば年間500億円の収支改善が見込めるとした。
想定通りに進まない可能性が高いのは、再稼働に限らない。
廃炉作業中の福島第1原発にたまり続ける処理水の放出方針が決まり、漁業者に風評被害が生じると新たな賠償が必要になる。廃炉は作業が遅れており、費用はさらに膨れ上がる恐れがある。
12年の当初計画は、柏崎刈羽を13年度に再稼働させ、10年代半ば以降の早い時期に国が持つ東電株の割合を減らして国有化を終えるとしていた。見る影もない。
甘い想定を積み重ね、問題の先送りを続けているのが実態だ。原発頼みの枠組みから転換しなければならない。