同じ関係を続けていては、弾圧に間接的に加担したことになるのではないか。
国軍のクーデターから約5カ月となったミャンマーでの日本企業の活動である。国軍系の現地企業と関係を築いて事業を展開してきた企業が少なくない。
弾圧による死者は800人を超えた。不当な拘束や拷問も後を絶たない。国軍系企業との取引は、人権侵害を繰り返す国軍への実質的な資金支援とも言える。
企業にすれば、巨額資本を投じてきただけに、簡単には進退を決められない事情もある。だが国内外の批判は高まっている。欧米は国軍系企業への制裁を発動し、投資の停止を呼び掛けている。
今後、人権団体などに提訴される可能性もある。企業が人権問題に鈍感でよいはずがない。撤退も含め、事業の在り方を抜本的に見直していくべきだ。
ミャンマーは2011年の民政移管後、「アジア最後のフロンティア」とも称され、外資が盛んに進出した。中でも、官民を挙げて取り組み約400社が展開する日本の存在感は大きい。
進出したのは、食品や自動車といった製造業のほか、円借款による大型開発を当て込んだゼネコンや商社だ。国軍は、ミャンマー国内で通信、電力など幅広い分野の企業を支配下に置く。国軍系企業との協力に乗り出す日本企業も目立つようになっていた。
クーデターの後、そうした企業は困難に直面している。
キリンホールディングスは、国軍系企業との合弁でビール事業を展開していたが、不買運動にも直面し、合弁解消を表明した。
フジタや東京建物が最大都市ヤンゴンで手掛ける複合施設の建設事業では、国軍と一体化した国防省に年間2億円の地代が渡っていることが問題化。再検討を迫られている。
見過ごせないのは、進出企業でつくる「日本ミャンマー協会」を巡る問題だ。会長の渡辺秀央元郵政相が代表取締役を務める会社が、国軍系企業と合弁で土地開発を進めている。今後、地代が国軍の資金源になる可能性がある。
この会社は、渡辺氏の息子で事務総長の祐介氏ら協会幹部が役員を兼任する。祐介氏は、国軍との「特別な関係」を推進し続けるべきだと主張している。
国軍の行為を見れば、新たな国造りを支援するという進出時の前提が崩れたのは明白だ。権益にしがみつくような姿勢はもはや、通用しなくなっている。