2018年03月
再稼働の同意 30キロ圏への拡大は当然
当然の結論である。
日本原子力発電が、東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働や運転延長に関し、地元と新たに結んだ安全協定だ。事前に同意を得る対象を、東海村だけでなく、半径30キロ圏内の5市に広げた。
事前同意の対象は、これまで立地する自治体と県に限定されていた。それ以外に拡大したのは全国で初めてとなる。
東京電力福島第1原発の事故では、放射性物質が立地自治体を超えて広範囲に拡散した。これを受け、半径30キロ圏内の自治体には避難計画の策定が義務付けられた。再稼働に同意する権限が立地自治体に限定される方が不合理だ。
福島事故を目の当たりにした国民は、原発に対して不安や懸念を根深く持っている。再稼働を目指す大手電力会社などの事業者が、再稼働を優先して地元の理解を得る範囲を絞っていては、不信は増すばかりである。
原発事業者は少なくとも30キロ圏内の全自治体から同意を得るよう、協定を結び直すべきだ。
東海第2は、関東地方にある唯一の原発である。30キロ圏内の人口は全国最多の96万人に及び、県庁所在地の水戸市も含まれる。
東海村はこれまで「村と県だけでは責任を負えない」として、周辺5市にも同意の対象を広げるよう日本原電に要望してきた。立地自治体の要望だけに無視はできなかったのだろう。
全国各地の原発30キロ圏内の自治体からは同意する権限を求める要望が何度も出ていた。それなのに事業者は再稼働のハードルが上がることを懸念して、かたくなに拒んできた。
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)では、30キロ圏内の7市1町のうち4市が、避難に対する不安などから再稼働に反対を表明した。それなのに玄海町と県の同意のみで再稼働は強行された。
東海第2と同様の協定を求める声が全国で強まるのは確実だ。事業者がこれまでと同じ姿勢では、反発が広がるだけである。
事業者が重視するべきことは、民意を十分にくみ取ることだ。原発による経営改善を優先して、地元に真摯(しんし)に向き合う姿勢を欠いてはならない。
「地元同意」の必要性や範囲が、法令で規定されていないことも問題だ。現在は同意を得る範囲は事業者に一任されている。これでは事業者の姿勢によって条件に差が出る。避難計画と同様、30キロ圏内の自治体の同意が必要と、明確に規定するべきである。
大嘗祭 国費支出に疑問がある
天皇陛下の退位や新天皇の即位に伴う儀式のあり方を検討していた政府の準備委員会がきのう、基本方針を決めた。
代替わりの前後に10の儀式・行事を行う。うち七つの儀式は憲法上の国事行為に位置付けた。
祭祀(さいし)である大嘗祭(だいじょうさい)は、憲法の政教分離原則に配慮して国事行為にしなかったものの、公的な皇室行事とした。宮廷費として国費が支出される。
国の宗教的活動を禁じる憲法の規定との兼ね合いが問題になる。祝賀ムードに流されず、冷静な議論が必要だ。
大嘗祭は、天皇が即位後、初めて行う特別な新嘗祭(にいなめさい)のことだ。その年に収穫された米などを天照大神(あまてらすおおみかみ)などの神々に供え、自らも口にして五穀豊穣(ほうじょう)に感謝する。
毎年秋に行う新嘗祭と違い、巨大な祭場「大嘗宮」を皇居内に造営する。殿内には神座がある。
平成の代替わりの前回は公的な性格があるとして、約25億円が投じられた。
当時、各地で違憲訴訟が起こされたが、いずれも損害賠償などの訴えは退けられた。目を向けなければならないのは、高裁段階で疑問が呈されたことである。
大阪高裁は「国家神道に対する助長、促進になるような行為として、政教分離規定に違反するとの疑義を一概に否定できない」と指摘。福岡高裁宮崎支部も「憲法に明確に適合するよう工夫すべき問題を残している」と判断した。
政府は前回の式典内容を基本的に踏襲する方針を示している。
そもそも前回の大嘗祭は、天皇が統治権を一手に掌握する総攬(そうらん)者であり神聖不可侵だった明治憲法下で定められた様式を踏まえている。象徴天皇制の現憲法に合うように、との司法の注文はもっともである。
前例踏襲ではなく、前回の儀式を検証し、考え直す必要がある。
国事行為とされた儀式にも疑問が残る。神話に基づく「三種の神器」の剣や勾玉(まがたま)を受け継ぐ「剣璽(けんじ)等承継の儀」には、宗教的色彩があるとみる憲法学者もいる。
国事行為はあくまで天皇の行為である。秋篠宮さまが皇位継承順1位の皇嗣(こうし)に就いたことを広く明らかにする「立皇嗣の礼」が当てはまるのだろうか。
国会は退位の法整備を巡り、「静かな環境で」との掛け声の下、オープンな議論を避けた経緯がある。今度こそ開かれた場でしっかり議論し、国民の総意形成に努めるべきである。
米軍訓練空域拡大 民間機を最優先すべきだ
沖縄周辺で民間機の運航を制限して米軍が訓練する空域がこの2年間で大幅に広がっている。訓練空域面積は既存空域の合計と比べ、少なくとも6割程度広がった可能性がある。
米軍が必要に応じて使う臨時訓練空域を新設する形で拡大している。しかも「臨時」とは名ばかりで、実態は常時提供状態である。
航空関係者によると、臨時訓練空域はほぼ毎日「有効」として発令され、民間機の運航を規制している。だが「臨時」のため、米軍の訓練空域を示して県などに情報提供される地図には載っていない。
国土交通省はこの臨時訓練空域を自衛隊用空域の名目で設定している。実態とかけ離れており、容認できない。
政府は米軍厚木基地(神奈川)からの空母艦載機移転に伴い、2016年に米軍も使用する臨時訓練空域を岩国周辺で新設した際には山口県にこの計画を説明している。沖縄での新たな臨時訓練空域の設定は15年12月10日だが、沖縄県には説明していない。
沖縄での米軍訓練空域の大幅な拡大を隠す悪質な意図が政府にあるとしか考えられない。極めて不誠実な対応であり、強く抗議する。
米軍に「提供」されてもいない「臨時訓練空域」という法的な位置付けが曖昧な場所で、米軍が訓練することは日米地位協定上も問題があるとの指摘がある。臨時訓練空域設定を公にしないのは、政府も法的に問題があると認識しているからだと疑わざるを得ない。
訓練空域拡大による民間機の運航への影響は計り知れない。乗客の時間的な損失も見過ごせない。那覇空港から久米島空港を直線で結ぶと、その進路を米軍訓練空域が遮る。直線で飛行すれば16分だが、訓練空域を避けねばならないため25分かかる。
那覇-上海便も訓練空域があり、最短距離を飛べない。那覇-福岡と那覇-上海はほぼ等距離だが、福岡へは約1時間半、上海へは約2時間と30分もの違いがある。
政府の米軍優先姿勢は、日米合意さえも形骸化させている。日米両政府は上空5千フィート以上を飛ぶことを条件に、那覇到着の民間機に伊江島訓練空域の運航を認めることで1985年に合意した。だが、在沖米海兵隊は訓練空域が「使用中」の場合、運航は認めないとしている。
ドイツでは、米軍はドイツ航空管制(DFS)に訓練空域の使用を申請し、DFSは「民間航空を第一に考えて」調整する。これがあるべき形である。米軍の訓練を最優先させ、民間機が迂回(うかい)する沖縄周辺の状況は異常である。
沖縄の米軍基地負担軽減に逆行する臨時訓練空域を全廃し、既存の訓練空域も民間機の運航を最優先に考えて大幅に見直すべきだ。
前川氏「行政ゆがめられている」 森友、加計問題で集会に参加

大阪市で講演する文科省の前事務次官の前川喜平氏=31日午後
前川氏は証人喚問を受けた佐川宣寿前国税庁長官が森友学園問題で今井尚哉首相秘書官と話したか問われ、直ちに否定しなかったとし「(否定は)偽証だと思った。虚偽答弁するしかなくなったのだろう」と感想を述べた。「今井氏が重要な役割を果たしたのではないか」との見方も示した。