http://www.kahoku.co.jp/editorial/20151130_01.html
来年度予算編成を前に、国の事業の無駄や非効率を指摘する報告や点検の動きが相次ぎ、あらためて「役所仕事」への疑念が高まっている。
会計検査院による2014年度決算検査報告は、570件、1568億円に上る不適切な会計処理、税金の無駄遣いを指摘し、改善を求めた。
有識者が事業の成果を公開で点検する行政事業レビューでは、原子力や英語教育、東京五輪関連事業などの有効性がやり玉に挙がり、長期間使用していないにもかかわらず年間12億円の維持費を注ぐ核燃料輸送船の打ち切りを求める意見が脚光を浴びた。
一方で財政再建の必要性を叫び、国民に一層の消費増税負担を求めていながら、億単位の浪費を漫然と繰り返す役所仕事の感覚には、いまさらながら憤りを覚える。
言いっぱなしやパフォーマンスに終わらないように、報告と点検を適正な予算編成と事業執行に反映させることはもちろん、無駄や非効率な事業を生む土壌までさかのぼった反省と見直しを求めたい。
今回の会計検査院報告には、地味ながら、見逃せない項目があった。国民生活の安全性に関わる事業の検証だ。
例えば、秋田、山形両県を含む10府県の自治体を対象に、太陽光発電の支援事業を活用した防災拠点施設の蓄電池設備を検査した結果、106基で必要な耐震性が確保されず、災害時に転倒、破損の危険があることが分かった。
支えがなかったり、強度計算が不十分だったり、バラバラに対応している実態があり、事業担当の環境省による指針が明示されていないことなどが原因と指摘された。
東日本大震災では、防災関連施設や設備の不備や不調により、避難情報伝達に支障が出た例があった。いざというときに役に立たない設備が住民の命を危うくするかもしれないことを考えれば、あまりに緊張感を欠いた仕事ぶりと言わざるを得ない。
公立小中学校の消防設備の検査でも、20府県3千校余りで自動火災報知機、消火器、避難はしごなどで不備があり、3年以上も放置されていた事例も多数見つかった。
空港施設の維持管理検査では、仙台空港などで無線や灯火施設のさびや損傷が放置されたり、滑走路の修繕や適切な保全を講じていなかったりした例が明らかになった。
いずれも多額の税金の無駄遣いにつながるケースではないが、日々の業務の質が問われる結果ばかりだ。
国民の安全・安心に直結する分野で、やるべきことがなされていない無責任な現状はある意味、無駄よりも深刻と言えるのではないか。
指摘された側にとっては重箱の隅をつつくような結果だったかもしれないが、国の段階から地方機関、自治体に至るまで、趣旨が徹底されないまま何となく事業が継続されている実態こそ、無駄を生む最大の原因と捉えたい。
何のため、誰のためにその事業があり、その仕事があるか。会計検査院や行政事業レビューの指摘を待つまでもなく、それぞれの組織、一人一人の職員が日頃から自問を繰り返すことが肝心だろう。
来年度予算編成を前に、国の事業の無駄や非効率を指摘する報告や点検の動きが相次ぎ、あらためて「役所仕事」への疑念が高まっている。
会計検査院による2014年度決算検査報告は、570件、1568億円に上る不適切な会計処理、税金の無駄遣いを指摘し、改善を求めた。
有識者が事業の成果を公開で点検する行政事業レビューでは、原子力や英語教育、東京五輪関連事業などの有効性がやり玉に挙がり、長期間使用していないにもかかわらず年間12億円の維持費を注ぐ核燃料輸送船の打ち切りを求める意見が脚光を浴びた。
一方で財政再建の必要性を叫び、国民に一層の消費増税負担を求めていながら、億単位の浪費を漫然と繰り返す役所仕事の感覚には、いまさらながら憤りを覚える。
言いっぱなしやパフォーマンスに終わらないように、報告と点検を適正な予算編成と事業執行に反映させることはもちろん、無駄や非効率な事業を生む土壌までさかのぼった反省と見直しを求めたい。
今回の会計検査院報告には、地味ながら、見逃せない項目があった。国民生活の安全性に関わる事業の検証だ。
例えば、秋田、山形両県を含む10府県の自治体を対象に、太陽光発電の支援事業を活用した防災拠点施設の蓄電池設備を検査した結果、106基で必要な耐震性が確保されず、災害時に転倒、破損の危険があることが分かった。
支えがなかったり、強度計算が不十分だったり、バラバラに対応している実態があり、事業担当の環境省による指針が明示されていないことなどが原因と指摘された。
東日本大震災では、防災関連施設や設備の不備や不調により、避難情報伝達に支障が出た例があった。いざというときに役に立たない設備が住民の命を危うくするかもしれないことを考えれば、あまりに緊張感を欠いた仕事ぶりと言わざるを得ない。
公立小中学校の消防設備の検査でも、20府県3千校余りで自動火災報知機、消火器、避難はしごなどで不備があり、3年以上も放置されていた事例も多数見つかった。
空港施設の維持管理検査では、仙台空港などで無線や灯火施設のさびや損傷が放置されたり、滑走路の修繕や適切な保全を講じていなかったりした例が明らかになった。
いずれも多額の税金の無駄遣いにつながるケースではないが、日々の業務の質が問われる結果ばかりだ。
国民の安全・安心に直結する分野で、やるべきことがなされていない無責任な現状はある意味、無駄よりも深刻と言えるのではないか。
指摘された側にとっては重箱の隅をつつくような結果だったかもしれないが、国の段階から地方機関、自治体に至るまで、趣旨が徹底されないまま何となく事業が継続されている実態こそ、無駄を生む最大の原因と捉えたい。
何のため、誰のためにその事業があり、その仕事があるか。会計検査院や行政事業レビューの指摘を待つまでもなく、それぞれの組織、一人一人の職員が日頃から自問を繰り返すことが肝心だろう。