政府が、新たな「地球温暖化対策計画」の原案を公表した。
2030年度の温室効果ガス排出量について、菅義偉政権が今年4月に打ち出した「13年度比で46%削減」との目標達成に向けた道筋を示すための、5年ぶりの改定である。
具体性を欠き、実現の見通しを付けたとは言えない内容になっている。産業、運輸、家庭など5部門ごとに削減に有効な取り組みを列挙してみせたに過ぎない。
06年に策定した現行計画は26%削減を掲げていた。46%削減という大幅な目標上積みは、脱炭素化が世界で加速し、欧米に出遅れた日本が積極的な取り組みを余儀なくされた末の対応だった。
今秋にも閣議決定し、10月末から英国で開く国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)までに国連に提出する。
高い目標を掲げることに意義があるとしても、裏付けのない計画でよいはずがない。具体化に結び付けるための施策を、早急に検討していく必要がある。
部門ごとの目標では、暮らしに直結する家庭部門で66%減と踏み込んだのが目立つ。工場など産業部門の37%減、自動車など運輸部門の38%減を大きく上回る。
産業部門について計画案は、経団連などが中心となり既に削減を進めていると指摘。「自主的取り組みを進める」としている。
経済界に一層の努力を求めるのを回避し、家庭への呼び掛けを強めることにして体裁を整えたというのが実態ではないか。
二酸化炭素(CO2)の19年度の排出量は、産業部門が3億8400万トンで全体の35%を占める。家庭は1億5900万トンで14%。責任が重いのは経済界だ。
計画案は、家庭で進める取り組みに、住宅の断熱リフォームや太陽光発電の設置などを挙げた。個人に多額の費用がかかる。
対策として重視するなら、現状の補助施策の課題を分析し改善の方向性を示すべきだろう。国民に「自らの問題として捉え、ライフスタイルを不断に見直す」よう求めるなど、精神論の繰り返しにも計画の苦しさがにじむ。
経済界の協力が必要な取り組みで注目すべきは、CO2に値段を付けるカーボンプライシングだ。排出量に応じ税金を課す「炭素税」、多く排出した企業が減らした企業から排出枠を買い取る「排出量取引」などがある。
検討項目に挙げているが、踏み込みが不足している。本格導入に向けた考え方を示すべきだ。
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