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 新型コロナウイルスワクチンの接種予約を巡る混乱が続いている。札幌市では26、27の両日、75歳以上の高齢者を対象とした集団接種の予約受け付け第2弾が行われたが、再び電話が殺到。かかりつけ医での個別接種も予約が取れない状態が続いており、高齢者には「先着順の予約方法が問題だ」との不満が広がる。希望を一定期間募って接種者を決める「抽選制」や、行政が接種順を決める「割当制」を導入している自治体もあり、専門家は「人口に応じ、住民負担が少ない方法で行うべきだ」と訴えている。

 「年寄りに何度も電話させるな」「どうして予約が取れないのか」。札幌市での75歳以上の接種予約受け付けが始まった19日以降、市役所には高齢者からの苦情が相次ぐ。北区の無職男性(84)は「手続きが複雑すぎる。もう無理だ」と憤った。

■札幌市「時間なく」

 札幌市は集団接種の予約を電話とインターネットで受け付けているが、どちらも「先着順」。受け付け初日の19日には、早期の接種を希望する高齢者が開始の午前9時に一斉にアクセスしたため、通信制限が必要となり、緊急通報にも支障が出た。個別接種を担うかかりつけ医でも予約電話が鳴りやまず、診療に影響した病院もあった。市ワクチン接種担当部は「抽選など他の方法も検討したが、対象者も多い上、時間的余裕もなく、先着制でやるしかなかった」と明かす。

 同様の混乱は全国でも起きており、事態を重くみた政府の新型ウイルス感染症対策分科会に参加する経済学者らは19日、予約方法改善に向けた緊急提言を発表。「高い需要に対し、供給が極端に少ない場合、先着制は不向きだ」と指摘した。

 提言者の一人で東大マーケットデザインセンターの小島武仁センター長(経済学)は「平時ならば先着制でも良かった。政府が統一したシステムを作っておけば混乱は防げただろう」とする。

 緊急提言の代替案は「抽選制」と「割当制」だ。抽選制は、予約を一定期間受け付けてから接種者を選ぶため、申し込みが集中しにくい。1回申し込めば、外れても次の抽選に参加できる仕組みにすれば、何度も申し込む必要もなくなる。一方、割当制は、行政が年齢や病歴などを踏まえて接種順を決める。