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 菅義偉首相の長男・正剛せいごう氏が勤める放送事業会社「東北新社」側から一人当たり7万円超の高額接待を受けていた山田真貴子内閣広報官(60)が1日、体調不良を理由に辞職した。首相は接待問題発覚後も一貫して山田氏を広報官として続投させる考えだったが、辞職を受け入れた。自らの任命責任について記者団に問われたが、語らなかった。 (村上一樹)

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首相官邸を出る菅首相。記者団が山田真貴子内閣広報官の辞職について問い掛けるが無言で通り過ぎる

◆接待との因果関係は否定

 山田氏は2月28日夕に体調不良となり「2週間程度の入院が必要」との診断を受けた。入院先から「職務の遂行を続けることが難しい」と、杉田和博官房副長官に辞意を伝え、同夜に首相に伝えられた。政府は1日の持ち回り閣議で辞職を決定した。山田氏は出席予定だった同日の衆院予算委員会も欠席した。
 首相は1日夕、官邸で記者団の取材に応じた。山田氏の任命責任を問われたが「行政経験豊かで、前首相の広報の秘書官もやっており、期待し任命した。このような形での辞任は大変残念」と述べるにとどめた。
 首相が総務相時代に正剛氏を秘書官に任命したことと、山田氏に対する高額接待との因果関係も問われたが「(秘書官任命は)12年前の話だ」と否定した。山田氏の辞職を巡り「国会はじめ皆さま方にご迷惑をおかけし大変申し訳なく思う」と陳謝した。

◆「息子と総務省のこと、話していない」

 1日の衆院予算委では、立憲民主党の山井和則氏が「首相の息子の誘いだから山田氏も断れなかったのではないか」と質問。首相は「因果関係は分からない。息子と総務省のことで、どういう事態でこうなったか全く話もしていない」と語った。
 首相は2月26日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を6府県で解除することを決定した後、記者会見を行わず、記者団が囲む形の取材で対応した。会見見送りについて、野党は「山田広報官隠し」と批判した。
 首相は首都圏で7日に緊急事態宣言が期限を迎えるのを前に、記者会見を行う見通し。首相は7日の宣言解除の可否について、1日の予算委で「専門家の意見も聴きながら、最終的には私の責任で判断する」と強調した。