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<今、変化を 国際女性デー2021>

 防災・危機管理対応の意思決定や現場に女性が少ないと、どのような問題が起きるのか。本紙の自治体アンケートからは、女性や子どもに必要な備品や対応が想定されず、災害時の混乱を広げかねない状況が浮かぶ。一方、女性職員や委員だけでなく、地域の女性防災リーダーを増やす取り組みも徐々に始まっている。(奥野斐)

◆大は小を兼ねる? 備蓄に無駄も

 「大は小を兼ねる、の発想で生理用品は数をそろえればいいと考えていた。用意すべき種類や量が分からなかった」。防災部門に常勤の女性職員がいない東京都豊島区の星野和也防災危機管理課長は話す。
 他部署の女性職員に意見を求め、種類だけでなく配り方の助言も得た。かさばらないナプキンを備蓄することにし、経血や汚れを拭くシートと小袋に入れて渡すことも検討している。星野課長は「日頃から女性の意見を反映できる環境が重要」と話し、女性職員の配置も要望しているという。

◆女性から避難所生活での具体的な意見が出やすい

 一方、防災部門の常勤女性職員の割合が3割を超す港区の鈴木健防災課長は「避難所での洗濯物を干す場所やトイレの確保など、具体的な対応を考える発言が女性から出やすい」と実感している。渋谷区は災害時の要配慮者対策を担当する課長に女性を配置し、多様なニーズの反映を図る。
 東日本大震災では、プライバシー確保などの視点が欠け、女性や子どもへの物資提供や避難所運営での問題が指摘された。国は地方防災会議の女性委員を増やすため、法改正をし、住民の自主防災組織のメンバーや学識経験者も委員になれるようにした。
 防災会議の女性委員が比較的多い豊島区は、2021年度末までに区の審議会などの女性割合を40%以上にする目標がある。このため、女性を積極的に委員に推薦してもらうよう各団体に促しているという。

◆足立区では女性に防災士の資格取得を働き掛け

 地域で防災の中心となる女性リーダーを増やそうという動きも。「女性に防災士の資格取得を働きかけている」(足立区)「防災ライセンス講座に託児サービスを用意」(千葉市)のほか、前橋市の担当者は「防災=男性という意識が根強く、女性が興味を持つ講座や訓練の設定も必要」と回答した。
 また、避難所で女性が食事作りなど特定の作業に追われるとの指摘を受け、「性別による役割の固定化がされないよう配慮」(世田谷区)「食事や片付けなどの活動が女性に偏らないよう理解を求める」(千葉市)などの対策も上がった。
 防災部局と男女共同参画担当部署との連携の有無も尋ねた。調査した31市区のうち、28市区が「連携している」と回答。全自治体が避難所運営マニュアルなどに、妊産婦や乳幼児を持つ女性への支援や、更衣室、授乳室の設置を記載。暴力やセクハラ対策、女性参画は大多数の自治体が掲載していた。
 一方、防犯ブザーを配布することにしているのは東京都中央区や北区、水戸市、宇都宮市など7市区と少なかった。