https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200813/KT200812ETI090008000.php

 世界中の国々が借金を膨らませている。

 経済協力開発機構(OECD)加盟37国の2021年の公的債務残高が、19年と比べて約12兆ドル(約1270兆円)増大する見通しになった。17%の大幅な伸びとなる。

 新型コロナウイルス感染拡大の対策を強いられた結果だ。各国とも国民の雇用や所得を支える補助金の増額などを迫られ、その終わりもまだ見えていない。

 日本は2度にわたる補正予算を編成し、20年度の追加の歳出が57兆円を超える。財源は国債発行で賄い、同年度の新規発行は90兆円を超え過去最大になった。

 緊急対策は必要だ。国債を発行し、借金するのも仕方ないという考え方もあろう。

 だが借りたものはいつか誰かが負担することになる。デフォルト(債務不履行)の危機に陥る国が出てくれば、国際金融市場を通じて影響は世界に広がる。

 コロナ対応の一方、将来の金融市場の混乱要因をため込んでいる現実を無視はできない。

 多くの国が、政府が発行した国債を中央銀行が流通市場で買い支えている。どの国も認めていないが、財政と金融が一体化した「財政ファイナンス」は既に現実化していると言えるだろう。

 国債を買い続けた中央銀行の資産は膨れ上がる。増えすぎた国債への信用が揺らげば、中銀の信頼性の低下につながる。その国の通貨への信認が失われ、ハイパーインフレを招く恐れがある。

 そうした時期がいつ訪れるかは分からない。確実なのは、今のような対応をずっと続けることはできないということだ。

 危険性が高いのは、OECD加盟の先進国より、海外の資金に頼る割合が高い途上国との指摘もある。財政運営が元々厳しいところに、コロナで債務が増えた。

 世界経済の混乱回避には、国際機関や先進国が連携して支援することも必要になってくる。

 自国通貨を発行できる国なら、そもそも財政赤字を心配する必要はない―。近年は、常識を覆すそんな理論も注目を集めている。MMT(現代貨幣理論)だ。

 危うくはないだろうか。広まる背景には、債務膨張に伴う危機が指摘されながらもなかなか起きないことがある。日本がその典型との指摘もある。

 日本政府も危機のシナリオから目を背けている。MMTを否定しているのは形だけなのか。財源論をいつまでも避け続けることはできない。