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 東京都内の新型コロナウイルス患者の専用病床を巡り、国が公表している確保病床数と、実際の確保数とに大きなずれが出ている。専門家による国の対策分科 会は実際より多い病床数を用いることで、医療現場の逼迫具合を示す「病床使用率」を低く算出。厳しい医療提供体制の実態を過小評価されかねない。識者や自 治体関係者からは「実際の数値を使うべきだ」との声が上がる。(小倉貞俊、小野沢健太)

◆甘い算定

 「指標を総合的に判断し、積極的かつ機動的に対策を」。7日、都内で開かれた国の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、尾身茂会長が語った。検査の陽 性率や新規患者発生数など6種類ある指標は、都道府県が対策を強化する際の判断材料になり、その筆頭に上がったのが「病床の逼迫具合」だ。
 分科会資料によると、都の病床使用率(5日午前0時現在)は43%。「ピーク時に新型コロナ患者が利用できる病床として、医療機関と調整して確保している病床数」を3300床と設定し、入院患者1416人が占める割合を出した。
 一方、都は実際の確保病床数を2400床と公表しており、病床使用率は59%に跳ね上がる。都の担当者は「当面の確保目標を2800床に掲げ、医療機関 に調整をお願いしているが、準備などに時間がかかる。それすら達していないのに、とても3300まで増やせる状況にない」と話す。

◆2つの数字

 分科会の数値の出所は、厚生労働省の集計だ。同省は毎週水曜時点の病床数や入院患者数を、各都道府県から報告を受けてまとめ、金曜日にホームページで公 開している。同省の担当者は「患者が増えた時にどれだけ病床を確保できるかという数字。都からは毎週、3300と報告が来ている」と説明する。
 都の担当者によると、第1波の感染がピークだった4~5月の緊急事態宣言期間中には最大で3300床まで確保したが、宣言解除後に感染者が減り、確保病 床の多くを手放した。5月末、厚労省に減らした後の数を報告しようとしたところ、「最大時に確保見込みの数字なので、3300のままで報告してほしい」と 言われたという。
 同省も「都が現状で確保しているのが2400床と承知しているが、1週間ほどで最大数を確保できるはず」と話す。医療ジャーナリストの油井香代子さんは 「厚労省には『都は過去の最大値の病床を確保するべきだ』という考えがあるのでは」と指摘した上で、「正確な数値、指標を使わなければ、都民のコロナ対策 への意識に影響が出かねない」と懸念する。

◆対策に影響

 厚労省の集計する確保病床数を巡っては、他の自治体からも疑問の声が上がる。神奈川県などは「ピーク時に確保できる病床数」を報告しているが、埼玉県は 現状で使える病床数を報告。担当者は「今すぐ使えなければ意味がない情報。県民に誤解を与えかねない」と話す。愛知県も「すぐに入れる病床を報告してい る」と、今後調整が必要になる病床は含めていない。

 厚労省は、都道府県の確保病床数についての認識が異なっていることを踏まえ、「すぐに使える病床(即応病床)についても都道府県に確認し、集計リストに加えることを検討したい」としている。