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5日投開票された東京都知事選。現職小池百合子氏(67)が大差で再選を果たしたのは、半年近い新型コロナウイル ス感染症への対応で、存在感をより高めたことが大きい。現職の小池氏を脅かすほどの対抗馬が不在の中、コロナ以外の都政の論争は深まらないまま。選挙戦最 終盤には新規感染者数が連日100人を超え、さらに現職に注目が集まる形になった。(小倉貞俊、福岡範行、松尾博史)

◆1度も街頭演説せず

東京都知事選で再選を決め、3密防止で報道陣の人数を制限する中、インタビューに答える小池百合子さん(中央)=5日、東京都新宿区で


 「都民の命と健康を守り、世界で1番感染症に強い首都・東京にしていく」。選挙戦最終日の4日、インターネットの動画中継で小池氏は自信をにじませた。
 一切街頭演説をしない異例の選挙戦。有権者への訴えはオンライン動画配信に限られ、外出といえば公務の視察や政府など関係機関との協議くらい。他陣営は「引きこもり選挙」と批判した。
 選挙の代わりに露出したのは、一連のコロナ対策だ。都内で1月下旬に初の感染者が出て以降、小池氏は記者会見などで繰り返し都民に注意を喚起。国への緊 急事態宣言要請や、休業事業者への協力金支給といった都独自の取り組みも脚光を浴び、連日テレビなどメディアに出続けた。他陣営からは「まるで選挙運動」 と、コロナ対策を選挙に活用したとの批判も出た。
 投票3日前には2カ月ぶりに新規感染者が100人を超え、臨時会見を開催。都のこれまでの対応に一部で批判も上がったが、継続した対策を訴える場にもなり、小池氏の存在感を高める結果になった。

◆山本氏に「恨み節」

 対する反小池氏勢力。都議会で対立する自民党都連は候補者を見つけられず、党本部は「自主投票」ながら実質支援を決定。「家で寝ているよ」(都議)と不満も漏れたが、対抗馬を立てないという最大の支援に落ち着いた。
 野党も立憲民主、共産、社民が元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)を支援し、党首級を応援に投入して支持拡大を図ったが、告示直前に出馬を表明したれいわ新選組代表の山本太郎氏(45)と支持層を取り合う形に。選挙中も宇都宮氏陣営からは「山本氏が野党共闘を壊した」と恨み節が出た。
 街頭でも「急に新しい人に代わってこれまで通りコロナの対応ができるのかねえ、今のままの方が不安は少ないよね」(70代主婦)との声が漏れていた。

◆「7つのゼロ」の多くは未達成

 前哨戦を含めて新型コロナ対策に終始した選挙戦で、本来は都政で問う課題が埋もれたのも大きい。小池氏の1期目の公約「7つのゼロ」の大半を達成できず、「情報公開による都政の透明化」も道半ば。知事でありながら国政政党「希望の党」を設立し、衆院選で惨敗した騒動もあった。
 これらの疑問符も、小池氏がぎりぎりまで出馬表明を遅らせたことや、選挙中の「公務を優先」する大義名分で、政策を深く論じる場は限られた。対立陣営の幹部は「コロナ禍がなければ、ここまでの結果になっていたかどうか」とつぶやいた。

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小池氏の1期目の公約「7つのゼロ」の大半を達成できず、選挙中の「公務を優先」する大義名分で、政策を論じなくたも再選?有権者は「何も不満はありません」宣言したの?