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10月23日の安倍首相夫妻主催の夕食会は1億7000万円(予算)/(C)ロイター

  安倍首相は18日、首相主催の「桜を見る会」の前夜祭をめぐる3回目のぶら下がり取材に応じた。前夜祭の会費や参加者の旅費、宿泊費については「安倍事務所にも後援会にも入金はないので、領収書を発行してもいない」と説明。明細書についても「そうしたものはない」と話した。

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 ぶら下がり取材を何度やっても疑惑は晴れない。むしろ、拡大するばかりで、18日も新証拠が見つかった。無所属の柚木道義衆院議員が「桜を見る会ツアー」を開催した山口県内の旅行会社に送付した、前夜祭の質問書に対する回答だ。

 注目は〈前夜祭の料理や値段の交渉について あべ晋三事務所(安倍晋三後援会)が交渉されたのでしょうか、旅行株式会社様が交渉されたのでしょうか〉というくだりで、旅行会社側が〈当社では関与しておりません〉と明言していた点だ。

 つまり、前夜祭は「安倍事務所」や「安倍後援会」が仕切り役となり、会場のニューオータニと交渉。明細書もないまま「会費5000円」を決めていたワケだが、本当に「会費5000円」で前夜祭はできたのか。

  ニューオータニは、HPで宴会などのパーティープランについて〈料金(1名さま):立食プラン ¥11、000~〉とうたっている。しかし、仮に実際は安倍首相の説明通り5000円でも可能なのであれば、ホテルに対する独占禁止法違反(不当廉売)の疑いが出てくるし、実費の差額分をホテルが「補填」していたとすれば、安倍首相の政治団体に対する「企業献金」に該当する可能性があるだろう。

 ちなみに10月23日、前夜祭と同じニューオータニ「鶴の間」で首相夫妻主催の晩餐会があった。出席者は602人で、予算書を見ると費用は1億7200万円だ。

 政府要人と一般客、立食と着座、料理内容の違いなど、晩餐会と前夜祭は一概に単純比較できないが、「5000円×800人=400万円」とは金額の差があり過ぎるだろう。

  首相晩餐会は900人の出席を予定していたため、ネットでは「差額(300人)の費用が前夜祭に充てられた」との声や、共産党の田村智子参院議員が「桜を見る会」について参院予算委で質問した3日後の11日、ニューオータニ取締役を務める今井敬経団連名誉会長が安倍首相と食事しているため、「ホテルもグル」なんて声も出始めているが、真相はどうなのか。

 日刊ゲンダイはニューオータニに対し、安倍発言の事実を確認したが、「担当者外出中」を理由に回答は得られなかった。


首相晩餐会で赤字補填?

 元検事の落合洋司弁護士は「資料が何もないので断定的なことは言えない」と前置きした上でこう言う。

「安倍首相の説明通り、事務所や後援会が入出金に全く関与していないとなると、明らかに安倍首相側はホテルに赤字分を押し付けた形となるため、ホテルは他の宴会や宿泊などで埋め合わせする必要があったでしょう。それが公費の首相晩餐会だったのか、それとも他の安倍首相絡みのパーティーだったのかはともかく、安倍事務所とホテルがいびつな関係にあった可能性はあるのではないでしょうか」

〈内閣の公的行事であり、意義あるものと考えている〉。政府は1カ月前、「桜を見る会」の開催の必要性について、こう閣議決定。それを「私が決めた」などと言って勝手に中止を決めた男をいつまでも総理大臣にしていたらダメだ。


安倍首相の「関与していない」に納得できないが68%(C)日刊ゲンダイ

首相の説明「納得できない」68%

 朝日新聞社が16、17日に実施した世論調査で、国の税金を使って安倍首相が主催した「桜を見る会」に地元の支援者が多く招待されていた問題について質問したところ、「大きな問題だ」が55%で、「それほどでもない」の39%を大きく上回った。

 安倍首相の「私は招待者の取りまとめに関与していない」との説明については、68%が「納得できない」と答え、「納得できる」は23%にとどまった。自民党支持層でも「納得できない」が53%と過半数に達し、無党派層では72%にのぼった。

 安倍内閣の支持率は、前回10月調査から1ポイント減の44%、不支持率は4ポイント増の36%だった。

 一方、産経新聞社とFNNが同時期に実施した世論調査では、内閣支持率は前回10月調査より6・0ポイント減の45・1%と大幅に下落した。不支持は4・7ポイント増の37・7%だった。