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 経済的な困窮や虐待で保護された子どもの大半が児童養護施設などで暮らす現状をどう変えていくか。特別養子縁組の対象年齢を引き上げることは、「施設から家庭へ」の流れを強める手だての一つとして意義がある。

 実の親が育てられない子を養父母が戸籍上の実子として引き取る制度である。現行の原則6歳未満を15歳未満に引き上げる見直し案を法制審議会がまとめた。

 縁組が成立するまで実の親が同意を撤回できる手続きも改める。家裁の審判を2段階に分け、縁組が必要かを判断する段階で同意すれば、養親の適格性を判断する手続きには関与できなくなる。

 縁組は年間600件ほど成立している。一方で、断念した事例は2014、15年度の2年間で300件近くに上る。子どもの年齢や実親の同意の要件が障壁になっていると指摘されていた。

 家庭で育つことは子どもが成長する上で何より大切だ。里親の制度とともに特別養子縁組を社会に定着させていきたい。制度を見直すにあたって、目を向けなければならないことは多い。

 一つは、子どもの年齢が上がるほど新たな親子関係を築くのが難しくなることだ。自我が育ち、実親と関係が断たれることを受けとめきれない子もいる。向き合う養親にも負担がかかる。

 安定した関係を築けなければ、かえって子どもが苦しむことにもなる。実際、施設に戻った子もいる。子どもと養親を支える相談や援助の仕組みが必要だ。地域の住民が見守り、手を差し伸べることも助けになる。

 見直し案は、15~17歳についても本人の同意などを条件に縁組を認めた。ただ、15歳未満については、現行制度と同様、子ども本人の同意を要件にしていない。

 縁組の成立を優先して子どもの気持ちをおろそかにすることがあってはならない。一律のやり方があるわけではなく、真意をくみ取るのが難しい場合も多いだろう。だからこそ、個別の事例に丁寧に対応していく必要がある。

 特別養子縁組は、実の親子の法的関係を断ち切る重い制度である。決断を迫られる実の親を支える取り組みも欠かせない。

 不妊に悩む夫婦が子どもを迎える選択肢にもなる制度でありながら、多くの人が関心を向けているとは言いがたいのが実情だ。医療機関などと協力して周知を図り、里親制度も含めて理解を広げることが、支える態勢をつくっていく上でも重要になる。