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 昨年の県知事選でネット上の情報の真偽を検証するファクトチェックをした。候補者への誹謗(ひぼう)中傷も多かったが、「沖縄の基地負担が大きいというのは幻想」との誤った言説も再び出現した

▼在日米軍専用施設面積の70%が沖縄に集中するという数字は「米軍関連施設を全て含めれば22%程度」で「数字のマジック」と主張する。自衛隊との共同使用施設を含めると数字は正しいが、その米軍利用実績は少なく、沖縄に多い専用施設での現実の基地負担を表していない
▼これも「数字のマジック」だったか。安倍晋三首相がNHKの日曜討論で辺野古新基地建設に関し「あそこのサンゴは移植している」と述べた。沖縄防衛局が移植対象とするサンゴは埋め立て海域全体で約7万4千群体。そのうち移植したのは9群体のみ
▼厚生労働省の毎月勤労統計で不正が発覚した。賃金動向を把握する数字だけに、これまでの賃上げを巡る労使交渉にも影響があったのではと懸念も出る。安倍政権肝いりのアベノミクスの「成果」と喧伝(けんでん)された賃金の伸びは下方修正された
▼さらに他の府省庁の基幹統計でも不適切処理事案が見つかった。どこまで広がるのか。政府自身がフェイクを発信し続けていたのである
▼「統計すなわち国」という。事は統計にとどまるのか。サンゴの移植でも誤った情報を流布する。国の根幹が揺らいでいる。