https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201801310000228.html

 ★本音を漏らしたというべきか、馬脚を現したというべきか。共産党書記局長・小池晃が「聞き捨てならん」と言ったが、まさにそれは国民の声だ。29日の衆院予算委員会で国税庁長官・佐川宣寿の理財局長当時の答弁の妥当性が問われている中、いまだ就任会見をしない問題。その責任者である副総理兼財務相・麻生太郎は「所管の行政以外に関心が集まっていたことから、実施しないと決めたと、確かあの時はそう聞いた」と、人ごとのように言い放った。

 ★小池は「国民の多くが、森友問題で明らかな虚偽答弁をした人物が税務行政の責任者であっていいのか、という疑問を持っている。それを(会見で)問いただすのは当然。ところが、そういったことを口実に記者会見をやらない佐川を、財務大臣まで良しとする。これはもう安倍政権ぐるみで真相隠しをやっていると言われても、仕方がないのではないか。この答弁はちょっと聞き捨てならん」となった。

 ★しかも、その所管である国税庁では、間もなく確定申告がスタートする。森友学園疑惑で「国有地格安払い下げ」の学園と財務省近畿理財局の交渉記録を「破棄した」と強弁し、「(国有地の)金額のやりとりはない」と言い続けた佐川発言の根拠が崩れているのにもかかわらず、理財局長から国税庁長官に栄転させ、更迭を問う声に首相・安倍晋三は「適材適所」と佐川をかばった。

 ★それも当然だ。「一点の曇りもない」はずの森友・加計学園疑惑は、首相自身の関与がないことばかりを強調するが、関係する役所の担当者たちはその部分だけ資料を破棄したり、その当時の記憶だけが「全く覚えていない」と唐突に抜け落とすという離れ業で政権を守る。がんばれば佐川のように“栄転”というご褒美が待つからだ。今更政治家の堕落には驚かないが、公務員のこれほどまでの堕落は国家をダメにする。まさに国難だ。(K)※敬称略