逮捕するべきは、国民に嘘をついた佐藤栄作であるのに、逆に、その嘘を暴いた西山太吉氏と女性職員を逮捕した。正悪逆である。

不正を正すのが検察の役目なのに、邪悪を許し、正しいものを捕まえる。

検察は、佐藤栄作とその背後のアメリカのために、佐藤栄作とアメリカの計画に邪魔になる西山太吉氏と女性職員を陥れたのである。

検察は勧善懲悪の逆だ。悪を勧め正義を懲らしめる。

さらに、事態は醜悪な様相を呈してくる。

検察は、西山太吉が、外務省の女性職員と「情を通じて」秘密電文を入手したと起訴状に書いた。(こう言うことを、普通書くか。西山太吉記者と、外務省の女性記者を貶めるために、公の場でこんな言葉を使ったのだ。ああ、日本の検察は、本当に品性がありますね。気高くて恐れ多いですね。牛の糞の次に品性がありますね)

すると、マスコミは、沖縄密約を忘れて、西山記者と外務省女性のスキャンダルを報道することに熱狂した。

たしかに、西山太吉氏の取材過程における行き過ぎはあっただろう。

しかし、男女の問題と、沖縄密約の問題と一体どちらが重要なのだ。

日本人にとって死活問題なのは、そのような密約をアメリカと交わしたことだろう。

あとで、その密約がもっと途方もない物を含んでいることが分かった。

事件後50年経ったことで、アメリカでは公文書の公開が始まって、ほかにも密約が幾つもあることが次々に明らかになった。

主なものだけでも、

◎日本がドルを連邦準備銀行に、25年間無利子で預け、その利子の分アメリカに1億1200万ドルの利益を与える、と言う密約。

◎沖縄返還後、核再持込みに関する密約。

戦争が起きた場合は沖縄に再び核を持ち込むことを認める。

◎沖縄返還時、費用肩代わりに関する密約。

沖縄返還にあたり、アメリカ軍が基地として使った土地を田畑に戻すための費用を日本が変わって支払う。

などがある。

このような密約がばれるのを恐れて、検察は、西山太吉氏を起訴し、日本にとって極めて重大な問題を、「男女の関係」に矮小化した。

すると、新聞、テレビは、連日、西山氏と女性職員の男女問題を騒ぎ立て、いつのまにか、肝心の沖縄密約の件は綺麗さっぱりと忘れ去られてしまった。

国民が、その問題を忘れるように、仕向けたとしか言いようがない。

日本人も、何が問題の本質かを忘れ、マスコミにおどらされて、西山太吉氏と外務省の女性職員の人格を貶めて喜ぶという、自分自身の劣情をかき立てて熱狂した。

西山氏の問題を論じるなら、その数倍を密約問題に費やすべきではないか。

なにが、日本という国にとって大事なものなのか、マスコミの人々は判断がつかないような頭をしていたというのか。
そうではあるまい。あれは意図的に起こされた騒ぎだったのだ。

検察と、マスコミが手を結んで、国家の犯罪を隠蔽したのである。

これで一番得をしたのはアメリカで、次に、当時の佐藤栄作である。

私は、あれよあれよという間に、話が沖縄密約から男女の問題に変わって、その件をマスコミが騒ぎ立て、密約の問題が消えてしまったことに驚いた。

今回の鳩山由紀夫氏叩きも、これとよく似た図式である。

アメリカの不利になると、アメリカに飴をしゃぶらされてきた、あるいは日常的に恫喝を受けている、マスコミ首脳、検察庁幹部、はアメリカのために、鳩山由紀夫氏叩きになりふり構わず力を尽くした。

今日、クリントン国務長官が、鳩山由紀夫氏を賞賛したというニュースが入ってきた。アメリカの勝利宣言である。

日本のマスコミ、検察幹部たちにも、ご褒美が届くだろう。

楽しみにしていなさいね。

自分の頭で考えて、何が正しくて何が不正か理解できない者は愚民である。
マスコミに扇動されて、何が正しくて何が不正か分からなくなる者も愚民である。
1972年の沖縄密約事件で、佐藤栄作とアメリカのために検察とマスコミの仕掛けた扇動に乗って、西山太吉氏を屈辱に追い込んだ当時の日本人は愚民だった。
今、また、検察とマスコミの扇動に乗って鳩山由紀夫氏を叩き、基地問題の解決を不可能にした日本人は、1972年当時の愚民状態から抜け出しているのだろうか。

最初に戻る。

2)基地問題に於いて日本が戦う相手はアメリカである。

今までに述べたことから、いかにアメリカが日本を蹂躙しているかお分かり頂けただろう。

基地を取り戻したかったら、アメリカと戦うのだ。

敵はアメリカだ、鳩山由紀夫氏ではない。

最大の敵を討つためには、鳩山由紀夫氏資金問題は、一時置いておいて、一緒に戦って、そのあとで資金問題を詰めれば良かったではないか。

物事には順番がある。順番を間違えると、取り返しがつかないことになる。

ところが、アメリカは、外務省をも、検察をも、政治家達をも、評論家たちをも抱き込んでいるから、アメリカの意を呈した外交評論家などを、新聞テレビなどは総動員して、「日本にとって一番大切なのは日米関係である」と言わせて、アメリカのいうことを聞けと日本人に説教を垂れる。

そんな評論家たちがどんな人種かというと、先日、元自民党の幹事長だった野中広務氏が、小渕内閣の官房長官在任中(98年7月~99年10月)、内閣官房報償費(官房機密費)を毎月5000万~7000万円程度使い、国会での野党工作のほか複数の政治評論家にも配っていたことを明らかにした。

そんな評論家たちが、マスコミに動員されているのである。

これが、アメリカに対する隷属状態が65年も続いた理由の一つである。

そして、ついに、検察、マスコミ連合の力の前に鳩山由紀夫氏は屈してしまった。

無残なる敗北である。味方によって、背後から撃たれたら戦いようがないだろう。

この鳩山由紀夫氏の敗北を見せつけられると、この後、誰が首相になっても日本のこのアメリカに対する隷属状態を解消しようとする勇気を持つ者はいなくなるだろう。

鳩山由紀夫氏の敗北と共に、沖縄の人々が米軍基地から逃れ出る希望は潰えたのである。

日本がアメリカの隷属状態から抜け出す機会も消えたのである。

3)について言えば、日本に米軍基地があるのは沖縄だけではない。

全国に134個所もある。

そのうちの米軍専用基地は90個所(そのうちの面積の70パーセントは沖縄)、残りは自衛隊との共同使用の形を取っている。

横須賀基地、横田基地、など、首都東京のすぐ近くで人口密集地なので、住民たちの苦しみは一方ならぬものがある。

しかし、基地から離れている人達は、基地について何の関心も示さない。

沖縄は、遠く離れているので、余計に他人ごとのようだ。

どうして、誰も反対の声を挙げ、運動を始めないのか。

沖縄の人々は怒っている。どうして、神奈川県の人間は怒らないのか。他県の人間は怒らないのか。

沖縄の人々も、誰が鳩山由紀夫氏を潰したか、冷静に判断して、その怒りをその人々に向けるべきだ。鳩山由紀夫氏が公約を守れなかったのは、アメリカの意を受けた彼の力を上廻る連中がいたからだろう。

沖縄の友人たちよ、間違えてはいけない鳩山由紀夫氏は真の敵ではない。

真の敵はアメリカだ。

敵を見失うな。敵に通じている裏切り者を見失うな。

沖縄以外の県の人間で、鳩山由紀夫氏が公約を守れなかったからと、ののしり、非難する人々は自分たちの愚かしさを罵るが良い。自分たちが何もしなかったくせに、鳩山由紀夫氏をどうして非難できるのだ。

昔のことわざに、「鷸蚌之争」(いっぽうのあらそい)というのがある。

「鷸」(いつ)は鳥の「シギ」のこと。

「蚌」(ぽう)は、ハマグリのこと。

「鷸蚌之争」とは、「シギが、ハマグリを食べようとすると、ハマグリが殻を閉じてシギのくちばしをはさんで押さえ込んでしまう。シギもハマグリも困って立ち往生する。そこを、漁師が喜んでつかまえる」ということで、「二者が愚かな争いをしているところを、第三者の食い物にされてしまう」という意味になる。

鳩山由紀夫氏と検察・マスコミのを争いは、まさに「鷸蚌之争」である。

この場合、アメリカにそそのかされて「蚌」である鳩山由紀夫氏に攻撃を仕掛けた検察とマスコミが「鷸」だろう。そして日本人同士馬鹿な争いをしている内に、漁師=アメリカは大きな利益を得たのだ。

クリントンは、シギとハマグリの争いで大きな利益を得て、良い機嫌になっているのである。

これで、日本がアメリカの隷属状態から抜け出るのは早くとも21世紀半ばまでには無理だということになった。

実に残念だ。私は、とうとう、アメリカの植民地の人間として一生を終えることになるのだ。

ああ、くやしいなあ。