政府の地震調査委員会が、東北沖から関東沖にかけての日本海溝沿いで起きる地震の発生予測を公表した。
今後30年以内にマグニチュード(M)7~7・5の大地震が起きる確率が宮城県沖で90%、福島県沖では50%など、軒並み高い値を示した。
この海域では、東日本大震災を起こしたM9の超巨大地震が2011年に起きたばかりだ。
平田直委員長は「大震災があったので、しばらくは大きな地震は起きない、とは考えないでほしい」と呼び掛けている。
M9級ではなくても、M7~8程度の大地震が発生すれば深刻な被害が出る恐れがある。津波の発生も予想される。
避難や支援の態勢は整っているか、原発の安全対策は十分か。厳しい予測を受け止め、備えを見直していく必要がある。
日本列島は地球の表面を覆う巨大なプレートの境界に位置しており、世界的にも地震が多い。境界の一つが日本海溝だ。
地震は一般に、プレート境界の海溝型地震と陸域の活断層で起きる地震に分けられる。阪神大震災や昨年からの北海道の地震は活断層が原因だった。
活断層が千年単位の間隔で地震を起こす一方、海溝型は、数十年から数百年という短い間隔で発生することが分かっている。
日本海溝の地震予測の公表は11年11月以来。東日本大震災以降の地殻変動の状況など、新たな研究成果を反映させた。
岩手県沖から茨城県沖が連動して東日本大震災が起きたM9級の地震が同じ場所で再び起きる可能性は、「ほぼ0%」とした。
だが、宮城県沖といった一定の範囲で区切って検証すると、M7~8の地震の可能性は高まる場所が目立つ結果になった。プレートにかかる圧力が、以前より地震が起きやすい方向に働いていることなどが要因という。
M9級が東日本大震災の震源域以外の場所で起きる可能性は、「否定できない」としつつ、データ不足で確率や具体的な規模は不明との説明にとどまった。
原発は万が一の危険にも備える必要がある。福島第1原発事故を踏まえれば、発生する可能性がある以上、積極的に伝えていくべきではないか。
東日本大震災から間もなく8年。津波被害や原発災害からの復興に取り組む地域にとっては、一層の難題を突きつけられることにもなる。被災地の将来は、日本全体で考えていかねばならない。