https://www.hokkaido-np.co.jp/article/582116?rct=c_editorial

 政府は新型コロナの感染急拡大を受け、緊急事態宣言の対象地域に北海道など8道県を加え、21都道府県に広げることを決めた。

 まん延防止等重点措置も4県を追加した。

 東京と沖縄に先月発令された宣言は3回目の拡大で、前回の追加発令から5日しかたっていない。

 地域の拡大と期限の延長を繰り返し、全国の7割超に当たる33都道府県が宣言と重点措置の対象となる。しかし、爆発的な感染は収束の兆しが見えない。

 これまでのような小出し対策ではデルタ株に太刀打ちできない。

 菅義偉首相はきのうの記者会見で、一時的な療養施設の拡充や新学期を迎える学校での感染対策の強化に力を入れる考えを示した。

 だが、医療崩壊が懸念されるのに対症療法が多く、飲食店の営業規制への補償も確約しなかった。

 徹底した感染抑止と医療確保に向け、実効性のある根本的な対策を急ぐべきだ。

 入院先がなく自宅療養する人は約10万人に上る。千葉県では自宅療養中の妊婦の搬送先が見つからず早産して赤ちゃんが死亡した。

 医療を受けられずに失われる命があってはならない。国民皆保険制度への信頼が揺らぎかねず、医療体制の拡充は待ったなしだ。

 首相は医療対策として酸素ステーションや抗体カクテル療法に取り組むと強調する。だが、酸素ステーションは容体が悪化すれば結局は入院が必要で、抗体カクテルは十分に確保できていない。

 政府と東京都は改正感染症法に基づく病床確保を医療機関に初めて要請した。正当な理由なく従わない病院名は公表できるが、実際に上積みできるかは見通せない。

 ホテルなどの宿泊療養施設の拡充に加え、限られた医療資源で集中的に治療できる臨時病院の設置について検討を急ぐべきだろう。

 首相は飲食店の営業時間短縮や大型商業施設の入場制限などに力を入れるとした。学校対策では小中学校に抗原検査キットを配布するというが、道内は新学期が始まっており、対応が遅すぎないか。

 菅政権の感染抑止策は相変わらずちぐはぐに見える。

 東京パラリンピックが開幕した。五輪同様、祭典ムードはコロナへの警戒感を緩めかねない。

 今回、来月12日までの期限を変えなかった。一方で、首相はきのう、自民党の二階俊博幹事長と会談して総裁選の来月下旬の実施を確認した。政局優先の対応と見られても仕方あるまい。