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 今年四〜六月期の国内総生産(GDP)速報値が二・四半期ぶりにプラスとなった。しかし伸びは微増にすぎず、むしろ景気回復の足取りの弱さを印象づけた。背景にはコロナ禍で明暗を分けた企業業績があり、格差の一層の広がりが心配だ。
 内閣府が今週公表した一次速報によると、GDPはこのペースが一年間続くと仮定した年率換算で1・3%増だった。伸び悩んだのはGDPの五割以上を占める個人消費が低調だったためだ。
 当初、自粛による反動で消費は伸びるとの見方が出ていた。だが実際は、店舗内でも感染の恐れがあるデルタ株への警戒感が広がり、対面消費が低迷した。百貨店などでもクラスターが起きており、この傾向は続くだろう。
 一方、設備投資は伸びた。テレワーク関連への投資が好調だったことが追い風となった。
 財務省によると二〇二〇年度の税収は法人税の伸びが寄与した結果、史上最高を更新した。テレワークや巣ごもり需要を取り込んだIT企業などで好決算が相次ぎ税収増に貢献した。設備投資の伸びはこうした実態を裏付けている。
 だが心配なのは新たな需要とは縁の薄い観光や運輸、飲食といった業界だ。業績は底なしで悪化している。こうした消費に直結した業界の回復なしにはGDPの本格的な伸びは期待できない。
 政府は追加経済対策にコロナ禍の影響が深刻な業界に的を絞った支援を盛り込むべきだ。法人税収で伸びた分を苦戦する業界につぎ込むか、一時的に税を減免するといった対策を求めたい。富の再配分を意識した政策でなければ格差や不公平感は広がるばかりだ。
 対策では低所得層への給付金も検討されている。生活苦の世帯は激増しており給付は必要だ。ただ支援は必要な世帯に迅速に行き渡らなければ意味がない。政府と自治体は過去の失敗を猛省し、協調体制を再構築して支援の実効性を高めてほしい。