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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/789583/

 盤石を誇った地元でも世論の逆風の強さが示された。菅義偉首相にとって、自民党内での求心力低下にも直結する結果だ。てこ入れを図った横浜市長選は想定外の大敗に終わった。

 首相が推した前国家公安委員長の小此木八郎氏は、かつて秘書として仕えた元通産相の三男で、近年は側近中の側近と目される間柄だ。自民党市連が自主投票となる中で、首相は党役員会で自ら支援を表明するなど地方選挙としては異例の踏み込んだ対応を見せた。

 新型コロナウイルスの感染拡大は市長選告示後も歯止めがかからず、政府の手詰まり感は強まった。首相が肩入れすればするほど、政権批判の逆風を小此木氏に集める形となった。

 基礎票では勝るはずだが、当初から接戦が伝えられ、当選した立憲民主党推薦の山中竹春氏との差は日ごとに広がった。山中氏は横浜市立大医学部の元教授として「唯一のコロナ専門家」をアピールし、野党だけでなく無党派の支持も集めた。

 もう一つの争点だったカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を巡る菅首相の「ぶれ」も、小此木氏に不利に働いたと考えられる。

 政府は旗を振っているのに、誘致中止を打ち出した小此木氏を首相が支援する不可解な構図となった。誘致推進の現職候補との間で自民党支持層が分裂したばかりか、小此木氏がいずれ主張を翻すのではないかという疑念まで招いてしまった。

 誘致反対を訴えた山中氏の当選で、横浜への誘致は難しくなった。他の国内候補地もコロナ禍の直撃を受ける中、成長戦略の目玉としてのIR誘致が被ったダメージは大きい。

 菅首相はきのう、自民党総裁選に出馬する意向を重ねて表明した。ただ「選挙の顔」として党内の疑問が強まることは避けられまい。緊急事態宣言の延長で、衆院解散・総選挙後に総裁選という当初の再選戦略は封じられつつある。今、首相が直視すべきは、政権に向けられてきた民意の厳しさの方だ。

 首相就任以降、国政選挙や大型地方選で敗北を繰り返してきたのは、コロナ対策の不首尾に加え、国民の心に届く言葉を持たないからにほかならない。

 今回、地元の有権者までが首相に冷ややかな審判を下した事実は重い。首相の活路は、国民の命と健康を守り、不満や不安を解消する手だてを具体的に示すしかあるまい。

 野党側も今回の勝利はあくまでも「敵失」であると肝に銘じるべきだ。山中氏の得票は過半数には遠く及ばない。本当に政権批判の受け皿となり得たかどうか、自問が必要である。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/790751/

 暴力団対策の今後にとって極めて重要な司法判断である。

 北九州市に拠点を置く特定危険指定暴力団工藤会の最高幹部2人に対し、福岡地裁が有罪判決を下した。殺人など4事件の事実認定に加え、量刑も総裁の野村悟被告は死刑、ナンバー2の田上不美夫被告は無期懲役と検察主張に沿った判断だった。

 判決によれば、罪状はいずれも一般市民を狙って組織的かつ周到に計画され、銃撃で1人を殺害し、3人に銃や刃物で命にも関わりかねないけがをさせたものだ。動機も、利権介入を拒否された、手術で担当の看護師に不満を抱いたなど、暴力団特有の理不尽さが際立つ。

 死刑適用の基準とされる「永山基準」は亡くなった被害者数を重視するが、悪質性や社会的影響なども考慮する。国際的には死刑廃止の潮流もあるとはいえ、日本に制度として存在する以上、今回の4事件の認定に立てば選択しうる結論だろう。

 この死刑判決が、工藤会に限らず暴力団に与えた衝撃は計り知れない。組織暴力壊滅の流れを加速させる好機である。

■組織の特異性を重視

 直接的な証拠はなくとも、組織内での絶対的立場を根拠に、トップを極刑に問うことができる-。判決で量刑以上に注目すべきなのは、両被告の事件への関与を具体的に示す証拠がない中、実行犯との共謀や指揮命令の存在を推認したことだ。

 判決は「(実行犯らに)指示できる上位者は両被告が想定される」「工藤会にとって重大なリスクがある犯行を組員が無断で起こすとは考えがたい」といった推論を積み重ねた検察側立証の大半を認めた。

 ピラミッド構造が厳密で、上位者が命じれば犯罪もいとわない暴力団の特異性を最大限重視した判断といえる。

 この判断が定着すれば、犯罪の黒幕として摘発が難しかった組織幹部の罪を問うことがより容易となる。捜査機関に新たな武器を与えることと同義だ。

 ただし、推論と推認を重ねる手法は冤罪(えんざい)の危険性とも背中合わせだ。その意味で、今回の判決は「もろ刃の剣」だと言わざるを得ない。被告側は控訴の意向を示している。上級審で改めて検討されるべき争点である。

 両被告の捜査は、福岡県警が全国の応援を得て進めた工藤会壊滅作戦の象徴だ。他の組織にも通用するかは議論もあろう。

■暴排機運さらに強く

 暴力団の中でも工藤会の凶暴性は際立つ。1992年の暴力団対策法施行後も暴排関係者や企業を狙った犯行を繰り返してきた。北九州市のイメージ低下に加え、企業誘致などの面でも支障となってきた。

 福岡県は2010年、暴力団に利益供与などをした企業を取り締まる全国初の暴力団排除条例を制定し、14年には県警の壊滅作戦が始まった。官民挙げた暴排運動も活発化している。

 組員離脱も進み、同市小倉北区にあった本部事務所は市税滞納で差し押さえられ、事件被害者への賠償目的で売却された。事務所は取り壊され、福祉の拠点化が予定されている。

 それでも道はまだ半ばだ。工藤会は依然、県内で200人超の構成員を擁し、市民の不安は完全に拭い切れてはいない。暴排の機運をさらに力強いものにしていかねばならない。県警には引き続き市民の安全確保に努めるとともに、工藤会の関与が疑われる未解決事件の捜査にも力を入れてほしい。

 何より欠かせないのは、暴力団から離脱した者の更生支援である。就労の受け入れなど民間が果たす役割も大きい。

 かつて暴力団を「必要悪」として紛争処理などで利用する市民もいた。そこから工藤会のような「絶対悪」も生まれた。

 今回の判決を、暴力団をはじめとする、あらゆる反社会的勢力と決別する契機ともしたい。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/582116?rct=c_editorial

 政府は新型コロナの感染急拡大を受け、緊急事態宣言の対象地域に北海道など8道県を加え、21都道府県に広げることを決めた。

 まん延防止等重点措置も4県を追加した。

 東京と沖縄に先月発令された宣言は3回目の拡大で、前回の追加発令から5日しかたっていない。

 地域の拡大と期限の延長を繰り返し、全国の7割超に当たる33都道府県が宣言と重点措置の対象となる。しかし、爆発的な感染は収束の兆しが見えない。

 これまでのような小出し対策ではデルタ株に太刀打ちできない。

 菅義偉首相はきのうの記者会見で、一時的な療養施設の拡充や新学期を迎える学校での感染対策の強化に力を入れる考えを示した。

 だが、医療崩壊が懸念されるのに対症療法が多く、飲食店の営業規制への補償も確約しなかった。

 徹底した感染抑止と医療確保に向け、実効性のある根本的な対策を急ぐべきだ。

 入院先がなく自宅療養する人は約10万人に上る。千葉県では自宅療養中の妊婦の搬送先が見つからず早産して赤ちゃんが死亡した。

 医療を受けられずに失われる命があってはならない。国民皆保険制度への信頼が揺らぎかねず、医療体制の拡充は待ったなしだ。

 首相は医療対策として酸素ステーションや抗体カクテル療法に取り組むと強調する。だが、酸素ステーションは容体が悪化すれば結局は入院が必要で、抗体カクテルは十分に確保できていない。

 政府と東京都は改正感染症法に基づく病床確保を医療機関に初めて要請した。正当な理由なく従わない病院名は公表できるが、実際に上積みできるかは見通せない。

 ホテルなどの宿泊療養施設の拡充に加え、限られた医療資源で集中的に治療できる臨時病院の設置について検討を急ぐべきだろう。

 首相は飲食店の営業時間短縮や大型商業施設の入場制限などに力を入れるとした。学校対策では小中学校に抗原検査キットを配布するというが、道内は新学期が始まっており、対応が遅すぎないか。

 菅政権の感染抑止策は相変わらずちぐはぐに見える。

 東京パラリンピックが開幕した。五輪同様、祭典ムードはコロナへの警戒感を緩めかねない。

 今回、来月12日までの期限を変えなかった。一方で、首相はきのう、自民党の二階俊博幹事長と会談して総裁選の来月下旬の実施を確認した。政局優先の対応と見られても仕方あるまい。

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